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雲の中で散歩

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Love story  獄京 forever


wedding 9月 9日










教会の扉がひらかれ、一礼して祭壇の方に視線を探すと
待っていてくれる隼人の姿がヴェール越しに見えた。

真っ白なタキシードが、本当によく似合っている。
今朝、彼は正装には着替えずに先に教会へと出発したため
京子は改めて隼人の佇まいに見惚れてしまう。


ああ、やっぱり獄寺くんは私の天使だ ―――



涙があふれてきてしまい、何とか堪えようと瞬きを繰り返す。

はやる気持ちとは反対に、転んでしまわないよう、ドレスの丈に気を付けて慎重に歩くしかない自分の足取りがもどかしく思えた。


もう少しで祭壇だ ―――
顔を上げると、誰よりも微笑みかけてほしかった人の笑顔が見える。


隼人、よかった ・・・


ほっとして、京子は微笑んだ。


隼人へと辿り着き、彼の手に触れた時
生きていて良かった、と、生まれてきて良かった、と京子は素直に、ただただ感謝をした。



―――――――



9月 9日の朝、太陽は輝き、爽やかな風が開け放たれた窓から入ってくる。

二人は朝食を取るため、宿泊しているホテルの一階にあるレストランへと降りていった。
朝食が運ばれてくる前の、ゆっくりとした時間が流れる。


「 お誕生日おめでとう、隼人♪ 」
京子はにっこりした。

「 あ、えーと、サンキュ! 」

隼人は照れてあたふたと答えた。
十年間、全然変わらない反応。
今も彼は照れくさそうに目を伏せている。


「 プレゼント、あとでわたすね♪ 」

「 サンキュー、な、気にしなくてよかったのに、、あっ 本当、ありがと! 」
赤くなりながら隼人は頷く。

「 うん♪ 」

「 今日は長い一日になる。
たぶんアフターパーティーでは踊らされ続けるぞ ・・・
しっかり食べてこ! 」

照れているのを隠すように、隼人はオレンジジュースをグッと飲んだ。







「 じゃあ、教会で待ってる 」

「 うん 」


朝食を済ませ、身仕度を整えると、
隼人は京子の両手を取って、静かに言った。
彼は教会で結婚式の正装に着替えるため、先に出席しなければならない。


「 隼人 ・・・ 」

「 ん? 」

「 隼人、お誕生日おめでとう。
生まれてきてくれて、本当にありがとう。
隼人が生まれてきてくれて、今、生きていてくれて、私、すごく感謝してる 」

まっすぐに隼人を見つめて、京子は心の底から言った。

「 なっっ  
照れんだろぉぉ ・・・ 」
真っ赤になって、髪をぐしゃぐしゃとやり、思わず隼人は俯いた。

が、次の瞬間、顔を上げると京子を見つめ返した。

「 俺だってっ! 」

「 あ、待って、その先は私の誕生日に聞かせて♪ 」

「 なっ 俺ばっか照れるの、、 何か ・・・ 」

「 いいから、いいから♪  
今日は隼人の誕生日なんだもん♪ 」
今度は京子がウィンクした。


「 ・・・ んっ 」
途端、京子は隼人にキスされていた。


ゆっくりと目を閉じる。
呼吸をする瞬間に瞬きをすると、同じように瞬きをする、彼の優しいまなざしが見えた。






ウェディングドレスは地元の老舗の仕立て屋さんで購入した。
京子は貸衣装で良い、と何度も言ったのだが、
隼人が買う! と譲らなかったのだ。
そして、ドイツの慣例に倣い、お互いのドレスとタキシードは当日まで見ないということに決めた。

メイクさんは仕立て屋さんの紹介だ。

純白のドレスは、鎖骨は見えるが、あまり肌が見えない形に作ってもらった。

ホテルにメイクさんが到着し、
京子はドレスを着るのを手伝ってもらい、メイクをしてもらうと、気持ちが高揚してくるのを感じた。

足元がふわふわしてしまう。


いよいよ支度が整い、メイクさんにお礼を言うと、京子は玄関ホールへと向かった。


「 !!! 」
一瞬、京子は目の前に広がる光景が飲み込めず、目をこすってもう一度見た。


何とホテルの前に馬車が準備していたのだ!
艶やかで、深い栗毛色の二頭の馬が、優しげな瞳を輝かせている。


『 京子様! お待ちしていました!!
おはようございます。
わたくしは御者を務める、アルバートと申します。
さあ、隼人様が待つ教会へ向かいましょう♪ 』

馬車の前で待ち構えていた、陽気でいて品のある、
正装した初老の紳士、アルバートが元気に声をかける。
京子は驚きで、あんぐりしていた口を慌てて閉じた。
隼人は何も言ってなかった。

『 あっ ありがとうございますっ! 』

式は任せてくれ、とウィンクした彼を思い出しながら、
隼人のロマンチスト、と心の中で呟き、馬車へと乗り込む。

すると、メイクさん、ホテルのスタッフ達、居合わせた宿泊人達が、やんややんやと祝いの言葉をかけ、にぎやかに送り出してくれる。

『 気を付けて、裾を踏まないように、
さあ、すぐに出席ですよ 』
アルバートが茶褐色の馬車のドアを開けて、乗り込むのを手伝ってくれた。


『 ダンケシェーン!!! 』

可愛らしい窓を開けて、見送ってくれる人達へと
京子はめいっぱいお礼を叫んだ。



―――――――



ガタゴトと快い音を奏でて、馬車は教会へと向かう。
二頭の馬はたてがみに風を受け、力強く進んでくれる。
アルバートさんの鼻歌が聞こえる。



ドイツにいる間はちょっとだけ夢を見ても良いかなあ ・・・
窓の景色を見つめ、京子は高鳴り続けている鼓動を感じていた。
早く会いたい ・・・



ゴトン、と音がして、その時、馬車は教会へと到着した ―――






そして今、
ドアの前に立ち、扉がひらかれるのを待っている。


[ ・・・ ギギ ・・・ ]
その音を合図に、目を開ける。


さあ、未来へ歩きだそう







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2009.09.09 03:04 | L-s | トラックバック(-) | コメント(-) |
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